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COLUMN 不動産売却コラム

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2025/12/02(火)

空き家を放置するとどうなる?罰則の可能性とトラブルのリスクを解説

「使っていない家だけど、放置したままで大丈夫?」と感じている方は少なくありません。実際は、劣化による危険や税負担の増加、時には罰則の対象になることもあります。

この記事では、空き家放置のリスクとそれを避けるための具体策をわかりやすく解説します。

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目次

空き家を放置すると起きる主なリスク6つ

空き家を長期間放置すると、外観の劣化だけでなく、近隣トラブルや固定資産税の負担増、売却価格の下落など、深刻な問題へ発展します。

ここでは、空き家を放置した場合に起きやすい6つの代表的なリスクを、専門家の視点からわかりやすく解説します。

 

建物の老朽化と倒壊の危険

空き家は人が住んでいないため、湿気や雨風が室内に溜まりやすく、劣化スピードが通常より速く進みます。

特に木造住宅では、以下のような損傷が急速に進みやすくなります。

  • ⚫︎雨漏りによる木材の腐朽
  • ⚫︎シロアリ被害の拡大
  • ⚫︎基礎部分のひび割れ
  • ⚫︎外壁の剥落や屋根材の落下

 

適切に管理されていない空き家は倒壊リスクが高まることが指摘されており、「危険空家」認定の対象になる可能性もあります。

 

火災・侵入・治安悪化のリスク

空き家は人目がないため、不法侵入や放火のリスクが高まります。

特に、以下のようなケースが多く報告されています。

  • ⚫︎空き家内への不審者の侵入
  • ⚫︎ゴミの不法投棄
  • ⚫︎放火・タバコのポイ捨てによる火災
  • ⚫︎青少年のたまり場化

 

放置された空き家は、不法侵入や放火の標的になりやすく、火災につながる危険が高まります。実際に空き家が原因となる火災も発生しているため、所有者には日頃から適切に管理する責任が求められます。

 

雑草・害虫・悪臭などによる近隣トラブル

人が住んでいない空き家は、庭や敷地に雑草が伸び放題になりやすく、害虫被害や悪臭の発生源になることがあります。

主なトラブル例:

  • ⚫︎庭木や雑草が隣地へ越境
  • ⚫︎害虫・害獣(ハチ、ネズミ、アライグマなど)の発生
  • ⚫︎生ゴミや残置物が腐敗し悪臭が発生
  • ⚫︎近隣住民からの苦情・自治体への通報

 

こうした問題は近隣との関係悪化につながり、行政から注意・指導を受けるケースも多くあります。

 

固定資産税が増える可能性

空き家は住んでいなくても固定資産税は発生しますが、状態によっては税額が大きく跳ね上がることがあります。

特に注意すべきなのが「特定空家」に認定された場合です。

  • ⚫︎小規模住宅用地(固定資産税1/6)の特例が適用除外になる
  • ⚫︎結果として固定資産税が最大6倍に上がる

 

これは罰金ではなく、住宅用地特例が使えなくなることで税額が上がる仕組みですが、放置するほどそのリスクは大きくなります。

 

管理や修繕にかかる費用が増える

放置期間が長いほど、建物の劣化は加速し、修繕費用は増えていきます。

主な費用:

  • ⚫︎外壁・屋根の修繕費が数十万円〜数百万円規模になる
  • ⚫︎雨漏りが放置されると構造部分の交換が必要に
  • ⚫︎害虫被害が進むと駆除費用+補修費用が発生
  • ⚫︎雑草・庭木の伐採も放置期間が長いほど高額になる

 

「少しの修繕で済んだはずの部分が、気づけば大規模工事が必要」というケースが多く、結果的に費用の負担が増えます。

 

将来の売却価格が下がり、売りにくくなる

空き家を放置すると、売却するときの査定価格が大きく下がる場合があります。

価格が下がる主な理由:

  • ⚫︎建物の価値はゼロと判断され、土地の価値だけで評価されるようになる
  • ⚫︎残置物が多いと買主が購入を控える
  • ⚫︎雑草・外観の悪化により印象が悪くなる

 

空き家は放置するほど価値が下がるため、できるだけ早い段階で売却の準備を始めることが高く売るための大きなポイントになります。

 

空き家を放置すると受ける可能性のある罰則と行政措置

空き家を放置したまま改善が見られない場合、所有者は行政から指導・勧告・命令といった措置を受ける可能性があります。

ここでは、空き家の放置によって起こり得る行政措置と罰則をわかりやすく解説します。

 

行政指導の流れ(助言〜命令まで)

空家対策特別措置法に基づき、行政は次のようなステップで空き家の所有者に対応を行います。

 

【行政の基本的な流れ】

  • 助言・指導

    軽度の問題に対して、改善点を提示し、管理の改善を要求される。

  • 勧告(=特定空家の指定)

    建物の倒壊リスク・衛生問題・景観問題などが認められると「特定空家」に指定され、改善を求める正式な文書が届く。

  • 命令

    勧告に従わず改善がされない場合、強制力のある「命令」が出され、その内容に従う義務が発生する。

  • 行政代執行

    命令を無視した場合、自治体が強制的に解体や撤去を行い、その費用を所有者に請求する。

 

勧告されると起きる「固定資産税の増額ペナルティ」

空き家を放置して「特定空家」に指定されると、最も大きな影響が出るのが固定資産税の増額です。

空き家を放置し「特定空家」に指定されて勧告を受けると、本来は土地に適用される「小規模住宅用地の特例(固定資産税が1/6に軽減される制度)」が解除されます。

これにより土地が通常課税となり、固定資産税が最大6倍まで増える仕組みです。これは罰金ではなく、軽減措置が使えなくなることによる税負担の増加です。

 

命令に違反した場合の罰則(過料)

勧告後も改善されない場合、行政から「命令」が出されます。

この命令に従わないと、最大50万円の過料が科されることがあります。

 

罰則が科される主なケース

  • ⚫︎行政が指定した期限までに改善を行わない
  • ⚫︎危険な部分の撤去を放置したまま
  • ⚫︎立ち入り調査を拒否し続けた場合

 

「過料」は刑罰ではなく行政上のペナルティですが、所有者には大きな負担となります。

 

行政代執行で解体される場合の費用負担

最も重い措置が「行政代執行」です。

命令に従わない場合、自治体が代わりに建物を解体したり、危険箇所を撤去します。

 

重要ポイント:費用はすべて所有者負担

行政代執行では、以下の費用が請求されます。

  • ⚫︎解体工事費
  • ⚫︎撤去作業費
  • ⚫︎廃材・残置物処分費
  • ⚫︎足場・重機設置費
  • ⚫︎職員の立ち入り・調査費

 

総額は100万円〜300万円以上に及ぶケースもあります。

支払わない場合は裁判所の手続きにより強制徴収されることもあります。

 

どんな空き家が「危険空家」と判断されるのか

行政が「特定空家(危険空家)」として認定する基準は、空家対策特別措置法と自治体の指針に基づき判断されます。

 

【主な認定基準】

  • ⚫︎倒壊、崩落の恐れがある
  • ⚫︎外壁・屋根の落下などにより周囲に危険を及ぼす状態
  • ⚫︎ごみ放置や害虫発生など衛生上問題がある
  • ⚫︎景観を大きく損なう状態
  • ⚫︎近隣住民の生活環境を著しく悪化させている

 

これらに該当すると、特定空家の指定 → 勧告 → 命令 と進む可能性があります。

 

空き家を放置しないための主な対策

空き家は「早めの管理・活用・処分」が重要です。

放置すればするほど老朽化・トラブル・税金・修繕費のリスクが増え、最終的な負担が大きくなります。

ここでは、空き家を適切に管理し、価値を維持するための代表的な対策をまとめて解説します。

 

まず確認すべき「権利関係・相続・書類」

空き家の対策で最初にすべきことは、所有権や相続の状況を明確にすることです。

権利関係が整理されていないと、管理も売却も解体も進められません。

 

チェックすべきポイント

  • ⚫︎登記上の所有者は誰か
  • ⚫︎相続登記は完了しているか
  • ⚫︎抵当権や差押えなど権利制限の有無
  • ⚫︎建物図面・土地測量図など書類の状態

 

自分で管理する場合の基本チェック項目

自分で管理する場合は、月1回〜数か月に一度の定期点検が理想です。

放置せず、問題を早期発見することで、修繕費用を最小限に抑えられます。

 

基本的なチェックリスト

  • ⚫︎建物の外観(屋根・外壁・窓・基礎のひび)
  • ⚫︎雨樋の詰まり
  • ⚫︎通気・換気(カビ・湿気対策)
  • ⚫︎雑草・庭木の伸び
  • ⚫︎害虫・害獣の痕跡
  • ⚫︎郵便物やチラシの滞留
  • ⚫︎室内の雨漏り、水回りの状態

 

遠方に住んでいる場合は、家族や知人に依頼したり、定期点検のスケジュールを作ると管理しやすくなります。

 

管理代行や見回りサービスを利用する方法

空き家を自分で管理できない場合は、自治体や民間企業の空き家管理サービスを利用するのが効果的です。

 

主なサービス内容

  • ⚫︎通風・換気
  • ⚫︎雑草処理・簡易清掃
  • ⚫︎郵便物の整理
  • ⚫︎外観・敷地の確認
  • ⚫︎写真付き報告
  • ⚫︎害虫・害獣対策

 

最近は1回数千円〜のプランもあり、遠方からの管理には特に便利です。

自治体が提携事業者を紹介している地域もあるため、公式サイトを確認すると良いでしょう。

 

売却する場合の判断ポイント(仲介・買取)

放置している空き家は、売却することで負担(税金・管理費・リスク)をゼロにできる有効な手段です。

売却方法には「仲介」と「買取」があり、目的に応じて選ぶ必要があります。

まずは、空き家の状態・立地・市場の需要を踏まえて、以下のポイントで判断すると失敗しにくくなります。

 

早く売りたい・手間をかけたくないなら「買取」

買取とは、不動産会社が空き家を直接買い取る方法です。

【メリット】

  • ⚫︎最短数日〜数週間で売却できる
  • ⚫︎仲介手数料が不要
  • ⚫︎内覧対応が不要

 

築古で状態が悪い空き家や、遠方で管理できない場合に特に向いています。

 

高く売りたいなら「仲介」

仲介とは、不動産会社が買主を探して売却する一般的な方法です。

【メリット】

  • ⚫︎市場価格に近い金額、またはそれ以上で売れる可能性がある
  • ⚫︎複数の買主の中から条件の良い相手を選べる

 

時間に余裕があり、売却価格を重視したい人に向いています。

 

空き家の活用方法(賃貸・リフォーム・解体など)

空き家は売却だけが選択肢ではありません。

立地や建物の状態に応じて、以下のような活用も可能です。

 

主な活用方法

  • ⚫︎賃貸として運用(戸建賃貸・シェアハウス・民泊など)
  • ⚫︎リフォーム・リノベーションして住む
  • ⚫︎解体して更地にし、駐車場・資材置き場として利用

 

ただし、「どの方法が最も得か」は立地条件によって異なるため、複数の専門家に相談することが重要です。

 

管理・修繕・解体にかかる費用の目安

空き家の管理や解体にかかる費用は、建物の種類や広さによって大きく変わります。

おおよその相場を把握しておくことで、計画が立てやすくなります。

 

費用の目安

  • ⚫︎空き家管理サービス:月3,000円〜1万円程度
  • ⚫︎草刈り・庭木伐採:1万円〜10万円
  • ⚫︎屋根・外壁修繕:20万円〜150万円以上
  • ⚫︎害虫駆除:1万円〜数万円
  • ⚫︎建物解体費用:木造で1坪あたり4〜6万円、鉄骨造は6〜8万円が目安

 

放置期間が長くなるほど費用は増えるため、早めの対応が結果的に最もコストを抑えられます。

 

よくある質問(FAQ)

ここでは、空き家を放置するとどうなるのか、実際に読者からよく寄せられる疑問をまとめました。

 

空き家は何年放置すると罰則の可能性がある?

法律上、「○年放置したら自動的に罰則になる」という決まりはありません。

しかし、以下の状態になれば年数に関係なく行政指導の対象になります。

 

該当しやすい状態

  • ⚫︎倒壊の恐れがある
  • ⚫︎ゴミ・雑草・害虫などが放置され衛生上問題がある
  • ⚫︎景観を著しく損ねている
  • ⚫︎近隣から苦情・通報が入っている

 

つまり、行政が重視するのは「放置した期間の長さ」ではなく、空き家の状態がどれだけ危険・迷惑になっているかという点です。

状態が悪化するほど、助言や指導の段階から勧告へ進み、さらに改善がなければ命令や行政代執行へと手続きが重くなっていきます。

 

空き家を放置すると税金が6倍になるって本当?

はい、条件次第では固定資産税が最大6倍になることがあります。

これは罰金ではなく、本来受けられる「小規模住宅用地の軽減措置(1/6)」が使えなくなることが原因です。空き家が危険な状態になると「特定空家」に指定され、行政から勧告が出た時点で軽減措置が外れ、土地は通常課税に戻ります。

その結果、税額が最大6倍まで上がる仕組みです。放置して劣化が進むほど、特定空家に認定される可能性が高まります。

 

相続登記が終わっていなくても対策はできる?

相続登記が終わっていない場合でも、空き家の管理や対策は可能です。

ただし、相続登記が完了していないと、売却や解体などの手続きが進められません。

 

ポイント

  • ⚫︎2024年より相続登記は義務化
  • ⚫︎放置すると過料(10万円以下)の可能性
  • ⚫︎共有者が多いとトラブルが発生しやすい

 

早めに登記を完了しておくことで、空き家の管理や売却に関する判断がスムーズになります。

 

遠方に住んでいても管理する方法はある?

はい、遠方に住んでいても空き家の管理は可能です。

近年は自治体や民間が提供する「空き家管理代行」サービスが普及しており、現地に行かなくても管理できます。

主な方法

  • ⚫︎民間の見回りサービスを利用
  • ⚫︎地元の不動産会社に管理を委託
  • ⚫︎親族や知人に定期巡回を依頼

 

空き家を自分で管理することが難しい場合は、管理サービスを利用するとトラブルを未然に防げます。

 

罰則を避けるためにまず何をすべき?

罰則を回避するには、まず空き家の状態をきちんと把握し、気になる点があれば早めに対処しておくことが大切です。

 

具体的にすべきこと

  • ⚫︎現地の状態を確認(外壁、屋根、雑草、残置物)
  • ⚫︎管理が難しい場合は専門業者へ管理を依頼する
  • ⚫︎劣化が進んでいるなら修繕もしくは売却の検討
  • ⚫︎行政から通知が来たら、速やかに対応

 

まとめ|空き家放置のリスクを避けるためにまずは専門家に相談を

空き家を放置すると、建物の劣化・近隣トラブル・税負担の増加・売却価格の下落など、さまざまなリスクが生じます。適切に管理したり、早めに活用・売却を検討することで、余計な負担を抑えることができます。

不安がある場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談することが大切です。

三河不動産売却センターでは、空き家に関する相談に対応し、必要に応じて司法書士や税理士と連携して適切なサポートを行います。

また、売却を希望される場合は、地域の相場を踏まえて適正な査定と最適な売却プランをご提案します。

空き家の売却や管理についてお困りの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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清水 昭浩 ― この記事の監修者 ―

不動産事業部 部長/中尾建設工業株式会社(三河不動産売却センター)

三河エリアに根ざして20年。不動産売却のプロとして、相続・住み替え・空き家活用など、さまざまなご事情に寄り添いながら最適な解決策を導いてきました。
地域向けの「不動産相続セミナー」「空き家対策セミナー」などにも多数登壇。複雑な手続きや税金について、初めての方にもわかりやすく解説することを心がけています。
・保有資格:宅地建物取引士/空き家マイスター
・得意分野:相続不動産、空き家売却、土地・戸建て売却