2025/08/31(日)
不動産売却と認知症リスク|60代から始める安心の備え方
目次
はじめに
「子どもが独立したから広い家はもういらないかも」
「定年後は駅近の便利なマンションに住み替えたい」――60代になると、将来の暮らしを見直し、不動産売却を検討する方が増えてきます。
しかし、意外と見落とされがちなリスクがあります。
それが 認知症などによる判断能力の低下 です。
本記事では、60代から考えておきたい「不動産売却と認知症リスク」について、具体的な備え方をストーリーを交えつつ解説します。
なぜ認知症リスクは見過ごされがちなのか?
ある日、60代のAさんは、子どもが独立したことで広い自宅が持て余していることに気づきました。
「駅近の便利なマンションに住み替えたい」と考えます。
Aさんは元気そのもの。「認知症はまだまだ先の話」と思い、売却の準備は先送りにしてしまいました。
しかし、不動産の売買契約には 所有者本人の意思能力 が不可欠です。
「売る・買う」の意味を理解し、自分の意思で判断できないと、契約自体が無効になる可能性があります。
つまり、元気なうちに「売ろう」と思っていた家も、判断能力が低下すれば、思うように進められなくなるのです。
認知症になると不動産は“凍結状態”に
不動産売却には、本人の意思が最も重要です。
家族が「売りたい」と思っても、所有者本人の判断能力が不十分であれば契約は進められません。
例えば、Aさんの親戚Bさんは、売却契約直前に認知症が発覚し、契約が成立しませんでした。
その後、成年後見制度を利用することになり、家庭裁判所への申し立てや手続きで数か月以上の時間を要しました。
結果として、希望のタイミングでの売却は叶わず、資産価値も十分に活かせませんでした。
「まだ大丈夫」が一番のリスク
60代は心身ともに元気な方が多く、「認知症はまだ先の話」と考えがちです。
しかし、厚生労働省のデータでは、65歳以上の7人に1人が認知症を発症していると言われています。
さらに軽度認知障害まで含めると、その数はさらに増加します。
Aさんのように「自分は大丈夫」と思っている間に、突然判断能力が落ちる可能性は誰にでもあります。
不動産は数千万円単位の大きな取引。
元気なうちに検討を始めることが、最大のリスク回避につながります。
元気なうちにできる備え
1. 早めに売却の検討を始める
「そのうち」と先延ばしにしてしまうと、気づいた時には本人が契約できなくなっている…というケースは少なくありません。
たとえば、Cさんは60歳で売却を考えましたが、「来年になったら」と先送り。
翌年、少し物忘れが増えて判断に迷いが出てしまい、契約がスムーズに進みませんでした。
このような経験からも、体力も判断力も十分な今のうちに準備を進めることが重要です。
2. 家族と意向を共有する
「自宅は将来どうしたいか」を家族に伝えておくことは非常に大切です。
判断能力が落ちた時、家族が迷わず行動できるようになります。
Dさんは家族会議を開き、「売却後は駅近マンションに住み替えたい」と共有していました。
その結果、もしものときにもスムーズに売却が進められ、家族間のトラブルも回避できました。
3. 専門家に相談する
不動産会社だけでなく、弁護士・司法書士・ファイナンシャルプランナーなどに相談することで、法律や税務も含めた総合的なアドバイスを受けられます。
専門家と連携することで、トラブルを未然に防ぎ、安心して売却の意思決定が可能です。
任意後見制度や家族信託の活用
任意後見制度
元気なうちに、将来判断能力が低下した場合の代理人を指定できる制度です。
認知症になったとしても、信頼できる人に不動産の管理や売却を任せられるので安心です。
家族信託
不動産やお金を信頼できる家族に託し、管理・売却を任せる仕組みです。
成年後見制度より柔軟に使え、家族の意向を反映しやすい点が特徴です。
これらの制度を活用すれば、「判断能力が低下したらどうしよう」という不安を大きく軽減できます。
まとめ|60代は「準備のスタートライン」
- 認知症になると不動産売却ができなくなる
- 成年後見制度は利用可能だが手間や制約が多い
- 元気なうちに準備を始めることが、老後資金や相続の安心につながる
「いつか売ろう」ではなく、今から準備することが最大の安心です。
60代からの早めの行動と家族への情報共有を心がけ、もしもの備えを整えておけば、老後の生活も資産活用も安心です。
最後に
本文にもある様に不動産の売却を進める中で、プロからのアドバイスを受けることが重要です。
そのため、まずは私たち三河不動産売却センターへの相談をお勧めします。
私たちは、創業90周年を迎え豊富な実績と地域業者様との長年にわたるネットワークを活かし、迅速かつ適正な価格での査定をお約束します。
また、売却に伴う手続きや費用についてもサポートいたしますので、安心して相談してください。
お客様のご要望や状況に合わせた柔軟な対応を心掛けています。ぜひ、お気軽にご相談ください。